レスリング選手

【有元伸悟】環境は言い訳にならない。コツコツ素直に取り組めば目標に近づける。

2016年全日本選抜選手権で優勝した有元伸悟さん。現在はコーチや総合格闘技ジムのインストラクターなどを通じて大阪レスリング界を盛り上げています。

しかし、「東日本の方が強い」と言われる日本レスリング界で西日本の大学に進学したり、もともと大阪ではレスリングが知れ渡っていなかったりするなど、一般的に厳しいと言われる環境を選択してきました。

その中でもレスリングでは着実に結果を残し、さらに大阪レスリング界は徐々に盛り上がりを見せています。このように、環境に捉われず着実に結果を残し続ける有元伸悟さんにインタビューしました!

有元伸悟さんのプロフィール

  • 大阪府出身
  • 興國高、近畿大学卒業
  • 大学卒業後は近畿大学でコーチをしながら現役を続行
  • 2016年全日本選抜選手権優勝
  • 現在は会社員をしながら近畿大学コーチ、総合格闘技ジムのインストラクターとして活動している

大学の強弱は関係ない。目的意識を持ち、練習量をこなせばどこででも成長できる。

ーーーレスリング界では、東日本と西日本の大学には実力差があり東日本が強いと言われている中で、有元さんはどのような理由で近畿大学に進学したのですか?

大学時代の有元伸悟さん
大学時代の有元伸悟さん(写真左から二番目)

長尾武沙士コーチと長尾明来士コーチと現在部長の萩原理実監督というお世話になっているお三方がいるのですが、監督・コーチ陣に「近畿大学で頑張ってみないか?」と言ってもらったことがきっかけです。

あと、高校に進学するために一度実家を出ているんですけど、それが自分に合わなくて帰ってきてるんです。だから、実家から通える近いところに行こうかなと思って近畿大学に進学しました。

当時は西日本や東日本とかはあまり深く考えていませんでした。でも、実際に入学してみてからは大変だなと思ったことはあります。ただ、その分練習の自由度は高かったし、やりたい練習に集中的に取り組むことが出来ました。

ーーー近畿大学に入学後も次々と成績を残されていますが、練習の際にどのような工夫や意識をしていましたか?

特別工夫したこともないし、珍しいこともやっていません。ひたすら練習していました。一人で朝練をやるときもあったり、技を試したくなったら関東に出稽古に行ったりすることもありましたね。

チームに強い相手がいることに越したことはないですが、必ずしも必要だとは思っていませんでした。当時は組み手に集中して練習がしたかったので、レスリングがある程度できる人がいれば、あとは目的意識を持ったうえでしっかり数をこなせば成長できます。

それに、「アップして、打ち込みして、スパーリングして…」っていう練習内容は東日本も西日本もほとんど変わりません。ただ、細かい技術がわからないこともあるので、そういうときは関東の大学に行って教わり、それを大学に持ち帰って何回も反復練習していました。

あと、近畿大学という船にすでに乗っているので、「周りに練習相手がいないから強くなれない」というのは言い訳にならないとも思っていましたね。

ーーー環境に依存せず自分のやるべきことに集中していたのですね。一人で練習することもあったとのことですが、モチベーションはどのように維持していましたか?

インタビュー中の有元伸悟さん

目標を決めて、それに向かって練習して、しっかり試合に出続ければモチベーションの維持に苦労することはありません。勝手に結果が付いてきますからね。

あと、僕の場合は高校時代にあまり成績を残せていないので、ちょっとずつ段階を踏めている感覚を楽しんでいました。

最初はしんどいことの方が多いけど、ある程度軌道に乗れたら「この人西日本から優勝するんじゃないか?」みたいな空気になって。こうなったらあとは死ぬ気で練習するだけです。

ーーーモチベーションを維持することに関して、苦労したことや挫折はありましたか?

2位が多かったことですね。めちゃくちゃ仕上げて試合に臨んでも2位だったときはさすがに落ち込みました。「勝てない星のもとに生まれたのかな?」って思うこともありましたね(笑)。

ただ、当時は落ち込んでぼーっとしている時間がもったいないと思っていました。「決勝で緊張して5割の力しか出せないとしても、その5割でも勝てるようにならないと」という考え方をしていたので。

あと、大学4年生までに「インカレ優勝しなきゃ」という焦りの気持ちもありました。負けたときは落ち込むけど、それ以上に悔しさと焦りが勝ってすぐに練習を再開していましたね。

引退後は総合格闘技ジムでレスリング指導も。技術を披露する場を設けてレスリングの普及を目指す。

ーーー現在はレスリングを引退されているかと思いますが、どのような活動をされていますか?

近畿大学レスリング部でコーチをする有元伸悟さん
近畿大学レスリング部でコーチをする有元伸悟さん

サラリーマンをしながら、近畿大学レスリング部のコーチ、総合格闘技ジムでレスリングクラスのインストラクターをやっています。

8時〜17時まではサラリーマンをやって、それ以降にコーチかインストラクターをやるという流れです。具体的には月曜日が近畿大学でコーチ、火曜日がSTYLE関目、水曜日がパラエストラ天満、木曜日がM3A FITplusでインストラクター、金曜日は近畿大学でコーチ、土曜日は近畿大学でコーチをした後にTeamKIZUNAのキッズクラスでレスリングを教えています。

最初はめっちゃしんどかったけど、今ではこのスケジュールにも慣れましたね。

ーーー総合格闘技ジムのレスリングクラスはどのようなきっかけで持つようになったのですか?

総合格闘技ジムでインストラクターを務める有元伸悟さん
総合格闘技ジムでインストラクターを務める有元伸悟さん(写真下段右から四番目)

コロナが流行り始めた頃に近畿大学がお休みになったんです。ちょうどそのときにパラエストラ天満さんが「レスリングクラスを作る」と言っていて、代表の赤尾さんとは知り合いだったので「レスリングクラス始めるんだったら、僕暇なので行かせてください」と言ったら、インストラクターをやらせてもらえることになりました。

大阪ではレスリングという競技名は知っているけど、どういう競技なのかまでは知れ渡っていない状況だったんです。だから、僕が総合格闘技ジムでレスリングを教えると会員さんにすごい感謝されて。自分しかできないことをやっているように感じられてすごく嬉しいんですよね。

レスリングを教えて「ありがとう」と言っていただけることにやりがいを感じたので、「もっといろんな人に還元できないかな」と考えていたところ、いろんなジムが声をかけてくださって今のスケジュールになりました。

ーーー総合格闘技ジムのレスリングクラスでは総合格闘技向けのレスリングを教えているのですか?

いえ、総合用とかではなく、シンプルにレスリングを教えています。だって僕はそれしかできないですからね。そこは変に媚びたりしません。もし総合に関する質問をされても「知りません」と答えています(笑)。

だからこそレスリングクラスに参加してくださる方々が試合できる環境を作らないといけないと思っています。みなさんすごい練習しててレスリングが上手になっているけど、それを披露する場所がないんです。総合の試合でレスリングの技術を使ってくださる方もいるけど、レスリング技術はあくまでも道具の一部でしかありません。それは「レスリングをやっている」とは言えないですからね。

このままではレスリング自体は盛り上がらないなと思って。大阪では誰でも気軽に参加できる大会はあるんですけど、僕らが頑張って目の届くレベルでしか公開されていないので、「もう僕がやった方がいいんじゃないか」と思ったんです。

ーーー具体的にどのようなことを実施するのですか?

インタビュー中の有元伸悟さん

2023年5月28日にレスリング練習試合大会を開催します。まずはミニマムに「練習試合」という名目で開催して、練習の成果を披露できる場所を作りたいと考えています。

「クラスでレスリングを教わって、それをスパーリングで試して、試合で披露する。そして、できなかったことをまたクラスで練習する。」という循環が回らないとレスリングは広がらないと思っています。どのクラスでも同じで、どれだけ指導をしても最終的に会員さんがそれを披露する場がなかったら意味がなくなってしまいますから。

めっちゃいい服買って、それをクローゼットにしまい続けているのと一緒です。外に着ていかないと意味がないんですよ。これと同じことがレスリングクラスで起きていたんです。

だから、まずは小さくですが、習得した技を披露する場として練習試合大会を開催することにしました。

今は大阪でのレスリング普及の土台作り。今後はさらに規模を広めてフィットネス感覚で取り組む人が増えてほしい。

ーーーコーチやインストラクターをやったり、練習試合を開催したりなど、今でもレスリングに関する活動に取り組んでいますが、どのような想いから現在の行動に至っているのでしょうか?

「レスリングはおもしろいしかっこいいよ」ということを伝えたいです。そして、もっと多くの人にとって手の触れやすく、普及したものになってほしいと思っています。大阪でそのきっかけを担えるのであれば「一旦は僕がやりますよ」と手を挙げて活動しています。

そして、柔術やグラップリング、キックボクシングと同じように、フィットネス感覚でレスリングに取り組む人が増えるのも目標の一つです。そんな人が増えて、練習試合大会のような試合を上手に循環させることができたらレスリングの普及に繋がるのではないかと考えています。

ーーーそのような想いを実現させるために、今後どのような取り組みをしたいと考えていますか?

僕が今大阪でレスリングを普及することの土台を作っているので、今後は僕じゃない人でもレスリングを教えられるようになったら良いなと思っています。

今でも僕のところに「レスリングを教えてほしい」という連絡がよく来ます。ただ、スケジュールがパンパンなのでなかなか教えることができなくて…。

でも、近畿大学の学生でも僕と遜色ないレベルの技術を持っています。だから、大学生に任せられるようになれば教えられる人が増えるし、レスリングに触れられる人も増えます。時間はかかるかもしれませんが、徐々に規模を広げていけば多くの人にとってレスリングが特別なものじゃなくなるはずです。

あと、学生がクラスを持てば大人と交流が持てる場になるし、自分のできることを活かしながらアルバイトのようなことができます。そして会員さんはレスリングを教えてもらえるというWin-Winの関係が築けるんです。

そんな場を提供しつつ、レスリングの普及に貢献したいと考えています。

派手なことはできない。何事もコツコツ、素直に取り組んで目標に近づく。

ーーー現在もレスリングに関する活動をされていますが、現役時代から一貫して持っている信念や想いはありますか?

コツコツ、素直に取り組むことです。

僕は派手なことはできないんですよ。飛び級とかはできません。だから土臭くコツコツやるしかないんだなと思っています。コツコツやるのは得意ではありません。でも、結局コツコツが一番強いと思っているので、基本的なことを忠実に取り組むことを意識しています。

あと、最近SNSを運用したり、練習試合を開催したりしていますが、それらについて最初から詳しかったわけではありません。周りからのサポートがあって、いただいたアドバイスを素直に受けとめて、できることに取り組んだ結果として今があります。

これまで失敗もしてきたけど、失敗はビビらないようにしています。人の失敗を見てる人なんてほとんどいないので。だから失敗するところは失敗して、そしてまたコツコツし直すということが目標に近づくために大切だと思っています。

有元伸悟さんのSNSアカウント

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