2021年、世界選手権での初優勝をきっかけに「オリンピックで金メダルを取りたい」という想いが芽生えた吉元玲美那選手。かつては遠い存在に感じていたオリンピックの舞台が、現実の目標へと変わっていきました。
しかし、パリ五輪は日本国内での決勝で惜敗。この悔しさ、代表に選ばれなかった現実、それでもなお前を向き、「ロサンゼルスで金メダルを取る」という大きな目標に向かい、日々を積み重ねています。
苦しさに立ち止まりそうになる時も、それを支えるのは競技への情熱。吉元選手の「何かを成し遂げるための364日」に向き合うその姿を、ぜひご覧ください。
- 吉元玲美那選手の経歴・実績
- 2021年初めての世界選手権優勝を機にオリンピック金メダルを決意。もっとすごい景色を見るために。
- パリオリンピックは無念の国内予選敗退。アジア大会での経験をきっかけにロサンゼルスオリンピック金メダルを決意する。
- 今まではただ頑張っていた”つもり”だった。二度と同じ結果にならないためにもやり方を変えて弱点を潰していく。
- 試合は無心で、目標は高く。どんな相手でもテクニカルスペリオリティで勝つ。
- どれだけキツくても続けられるのはオリンピックで金メダルを獲りたいから。練習がキツいのは当たり前のこと。
- レスリングの魅力は強くなる方法が何通りもあること。日々の練習を大切にして、どんな状況でも応援してもらえる選手を目指す。
- 吉元玲美那選手のSNSアカウント
吉元玲美那選手の経歴・実績
- 埼玉県出身
- 兄の影響で3歳からレスリングを始める
- 埼玉栄中学・高校卒業
- 至学館大学卒業
- 現在はKeePer技研株式会社に所属
- 2021年世界選手権優勝
2021年初めての世界選手権優勝を機にオリンピック金メダルを決意。もっとすごい景色を見るために。
ーーー私たちは「何かを成し遂げるための364日」というテーマでメディアを運営しています。最初に「何を成し遂げるために364日を過ごしているのか」「最終目標は何なのか」をお聞きしたいです。
私の最終的な目標は次のロサンゼルスオリンピックで金メダルを取ることです。
ーーーオリンピック金メダルを本気で目指したいと思ったことにはどのような背景があったか教えていただきたいです。

オリンピックを本気で目指そうと思ったのは2021年の世界選手権で初めて優勝したときです。
もともと至学館大学に入学したときの目標は「インカレ優勝」で、オリンピックは遠い存在に感じていました。社会人になって競技を続けるという覚悟も特になかったんです。
なんとなくオリンピックに行きたいとは思っていたんですけど、心の底から「オリンピックに行きたいんです!」って言える状態ではありませんでした。
でも、2021年の世界選手権の表彰台の一番上に立ったとき、「オリンピックの表彰台の一番上から見る景色はもっとすごいんだろうな」って思って。そこからもっと頑張ってオリンピック金メダルを目指したいと思うようになりました。
パリオリンピックは無念の国内予選敗退。アジア大会での経験をきっかけにロサンゼルスオリンピック金メダルを決意する。
ーーー吉元選手はパリオリンピックも十分狙える立ち位置にいたと思います。その中でパリオリンピック予選はどのような気持ちで臨まれていましたか?

正直、2022年12月の1回目の予選は覚悟が足りなかったと思います。「オリンピックの予選だ。頑張ろう」くらいの気持ちで、「死んでも勝つ」くらいの覚悟は持てていませんでした。
でも2023年6月の2回目の予選はもう後がなかったので、「絶対に何がなんでも勝つ」という気持ちで臨むことができました。
結果的には負けてしまってパリオリンピック出場はできませんでしたが、2回目の予選は今までで一番覚悟を持って臨めた試合だったかなと思います。
ーーーその後須崎選手が世界選手権で優勝しパリオリンピック代表に内定されました。パリオリンピックの夢が途絶えたとき、どのような気持ちでしたか?

実際、国内予選で負けた時点でパリオリンピックの可能性はゼロに近いと思っていました。その中でも少しの可能性を信じて練習はしていましたが、須崎選手が世界選手権で優勝されたときは「やっぱりな」という気持ちが大きかったです。
でも予選後すぐにアジア大会があったので、「まずはアジア大会で日本代表としての役割を果たす」ということを達成させてから落ち込もうと考えました。
アジア大会での試合が終わってからはけっこう辛かったですけど…。
ーーーアジア大会が前を向くきっかけにもなったんですね。アジア大会が終わってからは辛かったとありますが、どのようにしてその状況を乗り越えることができましたか?

アジア大会もオリンピックと同じように4年に一度の大会です。大会期間中は選手村で生活したり、閉会式に参加したりして、アジアバージョンではありますが、少しばかりオリンピックを味わうことができました。
そこで「やっぱりオリンピックって違うんだな」って感じて、より「オリンピックで優勝したい」と思えたんです。
あと、そのアジア大会には当時パリオリンピックが内定していた櫻井つぐみ選手と藤波朱理選手も出場していて、大会期間は一緒に生活していました。「私はパリオリンピックに行けないんだ」って取り残されている気持ちになった瞬間もあったけど、その二人と一緒に遠征に行けたのはいろいろ刺激を受けられて本当に良かったと思っています。
2023年9月にパリオリンピックの可能性は途絶えてしまったけど、10月のアジア大会でなんとか気持ちを切り替えられました。
今まではただ頑張っていた”つもり”だった。二度と同じ結果にならないためにもやり方を変えて弱点を潰していく。
ーーーではここから「ロサンゼルスオリンピック金メダル」という目標を成し遂げるために日々どのように過ごしているのかをお聞きしたいと思います。まず最初に、普段はどのようなことを意識して練習されていますか?

毎日自分の弱点を潰していくことを意識して練習をしています。強みを伸ばすのも大事だとは思いますが、自分にはまだ直さなきゃいけないところや苦手な部分がたくさんあるので、それらを一つひとつ潰していく練習が必要かなと思っています。
ーーー吉元選手は全体練習に加え、練習前後でも自主練に取り組まれている姿が印象的です。前・全体・後と練習をされていますが、全体練習でも弱みを潰すことを意識されているんですか?

全体練習では「常に全力で」を意識しています。口で言うのは簡単なんですけど、学生時代の練習に付いていくことに必死な時期に、練習後半のことを考えて最初は力を抑えてしまう癖が付いちゃったんです。
でも、社会人になったらもっと密度の濃い練習をしなければいけないなと思ったので、全体練習は最初から全力でやるっていうことを心がけるようにしています。
ーーー練習前や練習後はどのようなことをされているんですか?

まずは怪我をしない身体を作るためのストレッチや、怪我をしてきたところのリハビリなどをやっています。それに加えて、スピードを強化するためのトレーニングなどをやっています。
全体練習のメニューで「まだ自分に足りていない」と感じたところを練習前後でプラスでやるようにしているという感じです。
ーーー学生の頃は力をセーブして練習に取り組んでいたということでしたが、今では自分に足りないものを考えて「これもやろう、あれもやろう」とストイックに練習に取り組まれていると思います。そのように意識が変わったのはいつからでしょうか?
パリオリンピックを目指して頑張ってきたけど、12月の1回目の予選で負けてしまいました。結果に結びついていないということは、ただ頑張ってきたつもりだっただけということです。
だから、やり方を変えないと半年後(2回目の国内予選)では同じような結果になってしまうと思い、そこから考え方を変えて、自主練も大切にして取り組めるようになりました。
でも、自主練をする余裕がないくらい全体練習で全力を出さなければいけないんじゃないかとも思う自分もいます。私はルーティン化することややると決めたことは絶対にやることはできるんですけど、それが悪い方向に行っていた部分もあったなと思って。
だから、それからは、自分の身体の状況やその日の練習の動きに合わせて、臨機応変にやることを心がけています。
試合は無心で、目標は高く。どんな相手でもテクニカルスペリオリティで勝つ。
ーーー次に試合のことについてお伺いしたいです。吉元選手は日本国内だけでなく、世界選手権やアジア選手権など様々な大会に出られていますが、どのような気持ちでマットに立っているのでしょうか?

毎回違った心境でマットに立っていて、初めての大会ではチャレンジャーという気持ちで試合に臨むことができます。
一方で、アジア選手権のように2回目・3回目と出場すると、同じ相手と戦うこともあり、やりづらさもあるんですけど、それでも「テクニカルスペリオリティで勝つくらい攻める」という高い目標を持って戦うようにしています。
ーーー吉元選手は無心で機械のように試合に臨んでいる印象があるんですけど、試合中はどのようなことを考えていますか?
そうですね。自分は深く考えてしまうと動けないタイプなので、試合中は「ここを意識する」とか「この技をかける」とかは考えずに、ただただ無心で戦うことを意識しています。
でも、周りからも「冷静だね」と言っていただけることもあるんですけど、心の中で「やばいやばい」と焦るときもあります。でも「相手焦ってるな」とか思われたくないので顔には出さないように頑張ってます(笑)。
どれだけキツくても続けられるのはオリンピックで金メダルを獲りたいから。練習がキツいのは当たり前のこと。
ーーー意外でした(笑)。レスリングってめちゃくちゃキツい競技だと思うんですけど、それでも吉元選手がストイックに続けられるのはどんな理由があるのでしょうか?
レスリングがキツくても続けられているのは、「オリンピックで金メダルを獲りたい」という想いを強く持っているからです。
オリンピックを本格的に目指す前は妥協することもありました。
でも、今ではオリンピックという目標に向かって、どんなにキツくても「目標達成するためには仕方がないこと」や「キツいのが当たり前」って思えるようになりました。
ーーー目標があるから頑張れるんですね。ちなみに、ストイックに取り組む中でも「逃げ出したいな」って思うこともあるのでしょうか?
何回も「レスリング辞めたいな」って思ったことはあります。実家に帰省した後、愛知に戻るための新幹線に乗るのが嫌になってしまって、なかなか乗れないことがあります。
実家の温かさと愛知にいる時の厳しさの差を感じてしまって(笑)。
レスリングの魅力は強くなる方法が何通りもあること。日々の練習を大切にして、どんな状況でも応援してもらえる選手を目指す。
ーーー吉元選手でも逃げ出したくなることがあるんですね。レスリングは幼少期から続けられていると思うのですが、吉元選手にとってレスリングのどのようなところが好きなのでしょうか?

強くなるための練習の方法が何通りもあることが面白いなって思います。
スピード、力、技術、体力などいろんな要素を掛け合わせる必要があって、一つを極めて強くなる人もいれば、いろんな要素を平均的にレベルアップして強くなる人もいると思うんです。
他の競技をやったことがないから比べることはできないけど、強くなるための練習の方法が何通りもあることはレスリングならではの面白さかなって感じています。
ーーー確かにどういうタイプの人でも工夫次第で強くなる方法があるってのは面白いですよね。では最後に、吉元選手はこれからどんな選手になりたいかということを教えていただきたいです。
うまくいかない時にでも応援してもらえるような選手になりたいです。
結果が出ている時はいろんな人から応援してもらえます。でも、結果が出ていない時って応援してくれる人が少なくなると思ってて。だからそんな時にでも心から応援してもらえるような選手になりたいなって思います。
そのためにも、人間性を磨いたり、日々の練習を大切にしたりして、過ごしていきたいです。
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